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Act.4 無意味に色づく赤い花
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「や、マジで蓮池さんが見合いするって知らなかったんだって!」
迎えた週末の金曜日。
蓮池さんに誘われたあたしは、彼が経営するホテルのプレオープンセレモニーに来ていた。
そこには響も"叶グループ"の代表として招かれており、仕立ての良いスーツをさらりと着こなす響は、気持ち悪いくらい代表としての凛々しさを醸し出していた。
そんな挨拶回りをしていた響を見つけたのがついさっき。
人目を縫って響の肩を叩けば、優美につくられた表情はみるみるうちに驚きに染まった。驚愕を孕んだ目は、なんでここにいるんだ?といわんばかりに見開いている。
そしてあたしがココにいる理由を事細かに説明すれば、響はあたしの見合い相手が蓮池さんだったなんて知らなかった――…と、全面的に自分の無関係を訴えたのだ。
冗談混じりに[実は知ってたんじゃないの?]と、疑ったときに言われたのがさっきのセリフだった。
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