Act.1 拗らせた初恋のヒミツ

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  「あ…、なに?」 「何じゃねぇし」 グッと眉を顰めた響は交差させた足を組み直す。 その無駄に長い足を組み直す仕草は偉そうだが、キレイな顔のおかげかムカつくほど様になっている。 「…断れよ?」 疑り深くあたしを見つめてくる響はその瞳に鋭さを込めるが、あたしが言葉を返すより先にガチャ…と、リビングの扉が開いた。 あたしも響も音のあったほうへ視線を向けると、そこにはおぼんにティーカップを乗せた幸枝さんとスーツ姿の父が立っている。 「久しぶりだな。涼華、響」 低いバリトンがあたしたちの鼓膜を揺らす。 厳格な雰囲気をまとう父に、自然と喉が絞まる思いをするのはいつものことだ。 父はテーブルを"コの字型"に囲んでいるソファのひとつへ腰を下ろすと、おもむろにスーツの内ポケットから煙草を取り出して咥えた。
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