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はらりハラリと舞うように、桜の花は散っていき、踊る風は迷いなく、葵の髪を染めるようになびかせる。
春の宴は終息を向かえる準備をするような、気配をゆっくりと、雲と共に流してく。
「何ごちゃごちゃ言うとんねん。季節外れに暑いだけやないか」
しっかりと天の声を聞いている葵は、突っ込む事も忘れない。
「せっかく仕事休みやのに、朝から忙がしいねん。さっさと用事すませて、家でゆっくり寝たいねん」
朝一から病院へ行き、そのまま街中で買い物を済まし、一度家に帰っては、午後一に会社で打ち合わせ。
結局、家に帰ったのは16時を過ぎていた。
「あかん、眠いわ。とりあえず、更新だけでもして仮眠しよ」
しかし、朝一洗濯をした事を思い出し、取り込まなければいけなかった。
「あ~、家に帰ってもやる事あんねんな。すっかり忘れてたわ。さっさと済まさんと」
手際よく洗濯物をたたんで、葵はごろりと布団に横たわった。まぶたに重りが乗っかってるように感じては、半目でスマホとにらめっこ。
更新も終わらせて、少し仮眠をとろうとした葵。その道のりは長かった。やっと寝れると思った最中、父から電話が。
「起きてた?」
「今から寝る所やわ!」
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