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このSSを執筆するにあたって、葵は色々考えていた。
詩くらいしか書いたことのない葵は、小説というジャンルの書き方がよく分かっていないのだ。ましてやSS。大丈夫だろうかと心配だった。
「やっぱ基本は起承転結やろなぁ。短い文章でメリハリをつけるのが一番大切なんかなぁ」
そんな事を思いつつ、ふと気がついた。
「人生も起承転結やろか?まず産まれるのが起やろ?で、学生までが承。社会人になって転かな?したら、長いな。やっぱ転は結婚やろか?結は老後やな」
今、自分の居場所はどこだろうと考えた葵は頭をブルブルふった。
「あかん、ちょっと虚しくなるわ。小説の話や、小説の話」
普段からあまり読書をしないので、要領が分からない。とりあえず書いてみた。書かなきゃ何も始まらないからだ。
「書くだけ書いて、読み直して色々修正すればえぇ。したら、少しは読めるものになるやろか?情景描写も大事やな」
ふと外を見ると、朝から降り続けていた雨は止んでいて、うんと背伸びをした青空が広がり、葵の部屋に鋭角の光が溶けていく。そう、情景描写大事。
「比喩的な描写は大変やなぁ。でも、それが楽しいねん」
肝心の結はというと……
「はよ転にならんとなぁ」
溜め息ばかりの葵であった。
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