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目の前がチカリと光った。
「きゃあああああっ!?キラッ!!?」
ラクレットの叫び声が、僕の耳に届く。
どうやら僕の言った通り、あの魔物の血がかけられた瞬間に戻されたようだ。
右手と顔の右半分が酷く痛い。
最初の時ならば、僕に治す術はない。
今の僕になら多分治せてしまうが、魔導が何たるかを知りもしないはずの僕が、そんな行動を起こすのは不可能だろう。
その様に演じなければならない。
創世神様に疑われないように。
ただ、救いなのは。
この時が最初の時間軸だから、創世神様にもいったい僕がどんな行動をとるかは知られていない。
これから先の行動が制限されることは少ないだろうと思われる。
僕という人間が、どんな奴なのか。
まだ、あの方は探っている最中だろう。
自分の思っている通りに事を起こすのか。
それともただの期待外れか。
…正直、前回の僕がどうして駄目だったのかは、よく分かってはいない。
自分の正直な感情で動いた結果だったのだけれど、その生き方は創造神様には、ごみ屑のように無様で唾棄すべき生き方だったのだろう。
それでも。
僕は必死だった。
好きな人と大事な人とを守りたいと思って、必死になってみたのだけど。
神様的には及第点どころか赤点にすら及ばなくて。
僕はこの世界に関わる前に戻されて、消されてしまった。
けれどいま、僕は。
沢山の時間と記憶を抱えたまま、最初の時間に立ち戻っている。
僕に出来る事。
それを今から探す旅になるだろう。
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