第3章~誰だよ俺の下駄箱に藁人形入れたの~(笑)~

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藤咲町の朝は早い。 立派な観光地になったものの、どこか時代に取り残された雰囲気も残す、のんびりとした町。 のんびりとは言っても、やはりここは観光地。働き者である住民は朝日が昇る前から遠方からやって来る人たちを迎え入れるべく、働き始める。 「…………ふわぁ…………なんとか起きれたか…………」 差し込んでくる朝日のおかげで目が覚めた。昨日目覚ましを破壊してしまって、仕方なく携帯のアラームで起きようと段取りしていた俺。 今日は珍しくアラームが鳴る前に起床。確認してみるとアラームの鳴る時間より大分早かった。 二度寝…………いや、今日は俺が朝食を作る番だ。二度寝なんかしたらまた寝過ごして杏に何されるかわからない。 「…………ん…………あれ…………?」 なんとか頭を覚醒させ、ベッドから出ようとする。 が、できない。 下半身が何かにガッチリ縛られたように動かない。なにこれ金縛り?上半身はバッチリ可動してるけど。 「…………?」 おかしい。 そう思って掛け布団を捲ってみた。 「…………むぅ…………眩し…………」 「…………」 ネムがいた。 光が差し込んで思わず顔をしかめたそれは、抱き枕に抱きつくように俺の下半身に引っ付いていた。腕はもちろん、足でもがっちり俺にまとわりついてる。 なにこれ? 「侵入者ぁぁぁぁぁ!!」 「ぁ痛ぁぁぁぁぁぁああああ!?」 頭で考えるより先に、思わず拳骨をネムにお見舞いしていた。 声を発し、驚いた風に辺りを見回すネム。一気に目が覚めたらしい。 「し、侵入者だと!?ど、どこだ!?どこにいる!?」 「それはお前だぁぁぁ!!」 「ふぇにっくす!?」 おかげで下半身が自由になった。朝イチのワケわからないテンションのまま片足でネムに踵落とし。 「ま、待て!!話せばわかる!!これには海よりも深く、空よりも高い訳があるのだぁぁぁ!!」 深いのか高いのかどっちだよ。 「…………いつの間に俺の布団の中に…………」 段々と頭が覚醒してくる。 別に部屋に鍵をかけているわけじゃない。ただ部屋に入るだけなら別だけど、布団の中にまで侵入されたら、そりゃ目も覚めるだろ普通は。
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