経営者

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 朝七時半。けたたましいスマートフォンのアラームで目を覚ます。アラームがなる時間は把握している。それでも一度スマホを見、七時半を確認する。  ここで起きれば、シャワーを浴びてゆっくり髪の毛をセットして、朝ごはんを食べても学校に間に合う。  しかし起きない。もう一度布団にもぐりこむ。  七時四十分。さっきとは違うアラームが鳴り響く。布団から手だけを出し、アラーム停止のボタンを押す。  ここで起きればシャワーを浴びて髪をセットしても学校に間に合う。  しかし起きない。布団に手を戻す。  そして八時。三度目のアラームでようやく布団から這い出る。この時間だとシャワーを浴びる時間はあっても朝ごはんを食べる時間はない。もちろんゆっくり髪の毛のセットなんてできない。  それでも二度寝がしたい。これが俺のスタイル。  シャワーを浴びてから、歯を磨きながら袖に手を通す。この制服を着て、もう二年。カレンダーを見て、なるほどと思った。11月半ばに差し掛かってきた今日。冬が随分と近づいてきた。俺の朝起きる時間が遅くなってきたのはそういうことだろう。 「ふぅ~」  制服を着てネクタイを締め、鞄にはキーボード脱着式タブレット一つを放り入れて、準備は完了。  俺はマンションの一室を出て、エレベータに乗った。 
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