経営者

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 報酬の多いダンジョンになると、強い武器が必要になる。通常のオンラインゲームだと、ここで時間をかけてコツコツやるか、課金してサクサク進めるかに別れるが、KCSの場合プレイヤーの大多数が迷わず課金する。なぜなら自分しだいで課金したぶんを取り戻せるかもしれないからだ。  ギャンブルに似ていると俺は思っている。しかし違うのは、運ではなく実力で勝ち負けが決まるところ。ゲーム内で実際の身体能力は関係ないが、どんなにレベルを上げてステータスを上げて武器を強くしても、アクションゲームにはやはりセンスというものがある。  よくいるだろう。何百時間もプレイしてるのに数時間プレイしただけの人に負けるヤツ。コントローラーではなく自分で操作するのだ、その差はかなり大きくなっている。  実力の無いやつほど課金に頼り、取り返そうとして失敗する。  昨日の加藤達のように。 「昨日のアレ、加藤達か。どっかで見たことあると思ってたんだよ」 「まぁあの坊ちゃん達なら十五万くらい痛くもかゆくも無いだろ」 「ママ~ゲームでとられちゃったよぉ~ってか?」 「斉藤、それ最高」  大田原からはそれくらいの話しか聞き出せなかったが、騒ぎの原因はもう一つあった。  KCSプレイヤーの間で広まっている難攻不落ダンジョン『セントラル』そしてそのダンジョン主の二人のプレイヤー『メイデン』と『はずにゃん』この二人が実は学生ではないかと、巷ではささやかれているらしい。  KCSはダンジョン攻略アクションRPGだ。ダンジョンを攻略してリシェを貯めて、強い武器を買って高難易度ダンジョンに挑んだり、換金したりするゲームだ。  ダンジョンのほとんどは運営側が作成している。しかし二千万リシェを支払えば、ダンジョンの作成権が与えられるのだ。
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