第1章

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 腰の横で天刃を構える。足を大きく開き、上半身をねじって横に向ける。  「さぁ、真っ二つになりたい奴からこいよ」  ゴブリンは目測で三九匹。なるほどつまり、クラス一つぶんの人数になっているわけか。                            凝っているな。  ゴブリンは統率が取れていない。はずなのに、 「五匹もいっぺんに来るんじゃねぇよ!」  足をさらに大きく開き、体をかがませながら、右足で床を蹴る。飛び込んできたゴブリンは俺の体の上を通過して、ほかの方向から飛び込んできたゴブリンと衝突して床に倒れた。  床に倒れたゴブリンの首を切り裂くなど、赤子の手をひねるより容易にできる。返り血を浴びない様に注意するのがすこし面倒くさいだけだ。  普段後手に回るスタイルで戦うが、この数だと時間がかかりすぎる。ゴブリンのくせにビビッてなかなか近づいてこない。知能が無い分本能的な恐怖を強く感じているのだろうか。 「めんどくさいな」  大きく左足で踏み込んで、右足を引き付ける。と同時に振り下ろす天刃。突然目の前に急接近してきた刃にゴブリンごときでは反応できない。下から上に真っ二つに切り裂かれ、噴水のように血を吹きだして絶命した。  それをみてタガが外れたかのように、ゴブリンは一斉に襲いかかってきた。  腰の真横で構え、体をねじって溜める。ゴブリンを出来る限り多く引き付け、体をコマのように回転させ、遠心力で薙いだ。  今日は調子がいい。  五匹のゴブリンが十個の肉塊になっていく瞬間が、スローモーションのようにハッキリと見える。  負ける気がしない。  飛び込んでくるゴブリン。切り裂く刃。同じ映像が繰り返される教室。  ものの数分でクラス一つ分のゴブリンを蹴散らした。教室はまさに血の海。 「さしずめ俺は、ゴブリン学校を襲った殺人鬼ってとこか」
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