第1章

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「あ、そーですね。四百万弱ってとこですかね」  思わず吹き出しそうになった。これがボンボンの力か。  プレイヤークラスと武器ランクが離れていれば離れているほど、武器を購入、強化、進化する際にかかる費用がハネ上がる。  ちなみに俺も背伸びしてAランク武器を装備しているが、俺のプレイヤークラスはBなので、進化にかかった費用は八十万リシェほどだった。それでも高い。プレイヤークラスがAなら二十~三十万で進化できるはずだ。  「天田さんのそれ、『天刃』ですか?」  スパーダが俺の刀の形状をした武器を指さして言った。自分で言うのもアレだが、かなり珍しい武器だ。 「よくわかったな。刀、好きか?」 「はい! 天刃は確か進化でしか手に入らない武器ですよね! すごいや!」  スパーダは武器の話になった途端すっぽんのような食いつきを見せた。自己紹介が終わってから一言も言葉を発していなかったのに。 「刀系武器はFランクの『鉄刃』から進化していくしかないからな。ここまでくるのには骨が折れたぜ」  ここまで刀系に食いついてくるということは、きっとスパーダも刀系武器の使い手なんだろう。俺はそんなことを考えながら、スパーダが武器を転送するのを待った。 武器は刀系ではなく槍系だった。 なんだよこいつ。ちなみにこいつのもAランク武器だ。金でモノを言えない刀系武器はお坊ちゃまには向かないのだろう。 しかし改めて考えてみると本当に凄い。昨日十五万落としたばかりで、それを次の日に取りかえそうだなんて、相当だ。相当な金持ちか、相当な馬鹿だ。 なぜだろうか。この二人は前者に見えるが、よしろうだけは後者に見えた。 「おしゃべりはここまでだ。一年A組から順につぶしていくぞ」  学校型のダンジョンは初めてだが、システムはおそらくタワー型ダンジョン。上まで登って中ボスを倒し、下に降りてきてラスボスを倒す。上に行くにつれて敵モンスターは強くなり、中ボス討伐後は、下に行くにつれて敵モンスターが強くなる。
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