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堰を切ったように溢れ出た涙は、そう簡単に止まってはくれなくて。僕はただただ泣き続けた。
優しく引き寄せられ、ぽふっと彼の胸元に身を預ける。
「若葉」
じわじわと、彼のシャツに涙が滲んでいくのが分かった。
「本気、出してもいい?」
人に想われるということは、怖ろしい。
怖くて、苦しくて、美しい。
「うん」
随分長いこと遠回りをしてしまったけれど、ようやく受け止められる気がした。
彼の本気も、自分の本気も。
若葉、と四谷が言う。
「好きだよ」
ありがとう、と僕は笑った。
好きになってくれて、ありがとう。
ずっと、ずっと、ありがとう。
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