24

7/17
2711人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
堰を切ったように溢れ出た涙は、そう簡単に止まってはくれなくて。僕はただただ泣き続けた。 優しく引き寄せられ、ぽふっと彼の胸元に身を預ける。 「若葉」 じわじわと、彼のシャツに涙が滲んでいくのが分かった。 「本気、出してもいい?」 人に想われるということは、怖ろしい。 怖くて、苦しくて、美しい。 「うん」 随分長いこと遠回りをしてしまったけれど、ようやく受け止められる気がした。 彼の本気も、自分の本気も。 若葉、と四谷が言う。 「好きだよ」 ありがとう、と僕は笑った。 好きになってくれて、ありがとう。 ずっと、ずっと、ありがとう。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!