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そのことを後悔したのは、翌日のことだった。
翌日の放課後、僕は二年次の担任だった宇津見先生に呼び出された。
去年はクラス委員をしていたので、その関係で話す機会も多く、三年になって担任を外れてからも政経の授業でお世話になっている先生だった。
四谷琉聖のことなんだけど、と先生は言った。
「昨日、授業中にあいつに注意したんだって?」
「注意、というのは語弊があります」
もうすぐ指名されそうだったから、教えてあげようとした。ただそれだけ。
「雪下は、ああいうのとは関わらないと思ってた」
確かに自分とは合わない、苦手な人種だと思う。
「起こして、キレられなかった?」
「はい。いくらか不機嫌そうでしたけど」
「やるな」
おもしろそうに、先生は目を細めた。
そんなに四谷琉聖は危険なのだろうか。そうと知っていたら、僕だって声をかけたりしなかった。
やれやれ、と僕は思う。
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