2710人が本棚に入れています
本棚に追加
苛立ち、焦燥、不安。
いくつもの思いが、僕の内側に立ち込めていく。
それは、本当に過去の話なのだろうか?
もしかしたら、今も。
彼が求めているものが、身体の関係だけだということはないだろうか……?
「雪下?」
宮城が、僕の顔を覗き込む。
「どうかした?」
何でもない、と僕はアルコールを口に含んだ。
「何か、すごいなと思って……」
「だよな。あれは真似できないなって思うよ」
宮城の苦笑いに、僕も同じ表情で応えたが。
ぽたりぽたりと、胸の内に黒い雫が落ちていくのが分かった。
最初のコメントを投稿しよう!