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「四谷?」 『……った』 「え?」 『女といるのかと思った』 「女……?」 他に誰もいない廊下に、自分の声が吸い込まれていく。 四谷の考えていることが分からないのはいつものことだが、顔が見えない分、心細さが募る。 『駅で、一緒にいた女は?』 「駅……、ああ、桃ちゃんのこと?」 『誰?』 「従姉妹だよ。昔、四谷がうちに来たときに遊びに来てた子」 『……』 「覚えてない?」 覚えてる、と彼は不機嫌そうに言った。
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