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翌日の仕事は、スムーズに進んだ。 クライアントは時間通りに打ち合わせに来てくれたし、こちらの提案をすんなりと受け入れてくれた。 当初の予定では大分かつかつだったスケジュールも、それでいくらか余裕ができた。 「なっちゃん、そっち少し手伝おうか」 「え、いいんですか」 「うん。思ったより早く終わったから」 「助かります。じゃあ、これとこれの資料を添付していただけますか」 「了解」 四谷には仕事だと言ってあるし、早々に帰宅したところで、時間をもて余すだけのような気がした。 同じく休日出勤しているなっちゃんの仕事を、少しだけ減らしてから帰るとしよう。 仕事の手を止めることなく、そういえば、と彼女が言う。 「雪下さん、もうすぐお誕生日でしたよね」 「え? ああ、うん」 「やっぱり、恋人と過ごされるんですか?」 「……そう、かも」 はっきりと約束をしたわけではないので、僕の願望かもしれないが。
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