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買い物をした店から、再び駅の方へと戻る。
信号の手前で足を止め、僕はそっと睫毛を伏せた。
完全アポなし訪問というのはこれまでに経験がない。電話の一本くらい入れておくべきだろうか? いや、しかしそれだとサプライズにならない……。
信号が青へと切り替わり、人の波が前へ前へと動き出す。悩みを一旦胸にしまい、焦点を前方へと合わせると。
あれ……?
僕は一瞬自分の目を疑った。
視線の先にいるのは、今日はここにはいないはずの男だった。
多少距離はあったが、それが彼だということはすぐに判った。
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