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こんな、遠目に見た横顔で四谷だと判るだなんて、僕も大概どうかしている。 歩道の隅で、誰かと親しげに話をしている様子の四谷琉聖。 ゆっくりとそちらへと足を進めていくうちに、彼が大きめの袋を手にしていることに気が付いた。どうやら買い物帰りのようだ。 目の前にいるその男性と共に、お店に入ったのだろうか? 僕とは、休日に一緒に買い物なんてしたことがないのに? 昨夜確かに感じたはずの、彼の好意が、仄暗い感情によって塗り潰されていく。 他のひととはしない、といったのはセックスだけのことだったんだろうか。 休みの日にデートしたり、優しく笑いかけたりする相手は、僕ではなかったんだろうか……
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