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ええと、もしかして。
これは、完全に僕の勘違い……?
降って沸いた結論に呆然としていると、青年がちらりと僕を見て、それから村上さんに問いかけた。
「同居人、……ですか?」
問いの後、青年が村上さんの耳元に何かをささやきかける。その親密な雰囲気は、四谷とのことは誤解だと裏付けているような気がした。
村上さんが顔を赤くして二度頷く。青年はそれを受けて。
「恋人です、って紹介してくれないんですか?」
甘い、声だった。全身から好意が滲み出ている。
「ああ……、そう、だね」
曖昧な返答は、恥ずかしさの表れだろうか。既に耳まで赤くしている村上さんと、彼を愛おしげに見つめる青年。
こうして見ると、彼等はとてもお似合いの二人に見える。
先程四谷との関係を疑ってしまったことを、僕は心から申し訳なく思った。
違ってたらすみません、と青年が四谷に告げる。
何だろう、と小首を傾げると。
「お二人も、……同じなんじゃないかなって思ったので」
同じじゃない、と反射的に思ったが。
言葉にならなかった。
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