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何度も来たことのある、四谷のマンション。座るよう促され、僕はリビングのソファーに腰を下ろした。
「どーぞ」
「あ、ありがとう」
コーヒーを手渡され、そっと口をつけると。右隣に、四谷が座った。
小さな物音さえ響くような、沈黙が怖い。
マグカップをテーブルに置き、思い切って口を開く。
「あの……」
何から、話せばいいのか。
極度の緊張で、言葉が出てこない。
「僕、は……」
若葉、と四谷が落ち着いた声で言った。
「俺から、話していい?」
「あ……、うん」
おそるおそる、僕は彼の目を見つめた。
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