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「本気だから、キスしたんだけど?」
彼の言葉に、僕は唇を薄く開いた状態で固まる。
「え……?」
「起きてただろ? あのとき」
僕は息を呑んだ。
それも、ばれていただなんて。穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。
「グラウンドに戻ってきてからの様子もおかしかった。見てれば、大体分かる」
「う……」
何だかもう、いっぱいいっぱいで泣きそうだった。
「公園で会って、家に連れてかれたときは普通っぽいなと思ったけど。次の日からまたおかしくなるし。俺に好かれるのは、嫌なんだろうなと」
彼の表情に、苦しかったのは自分だけではなかったのだと、初めて気付かされた。
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