24

5/17
2711人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「本気だから、キスしたんだけど?」 彼の言葉に、僕は唇を薄く開いた状態で固まる。 「え……?」 「起きてただろ? あのとき」 僕は息を呑んだ。 それも、ばれていただなんて。穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。 「グラウンドに戻ってきてからの様子もおかしかった。見てれば、大体分かる」 「う……」 何だかもう、いっぱいいっぱいで泣きそうだった。 「公園で会って、家に連れてかれたときは普通っぽいなと思ったけど。次の日からまたおかしくなるし。俺に好かれるのは、嫌なんだろうなと」 彼の表情に、苦しかったのは自分だけではなかったのだと、初めて気付かされた。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!