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………………
涙が止まってから、僕は四谷とたくさん話をした。
高校のときのこと。
卒業してからのこと。
再会してからのこと。
話せば話すほど、自分には四谷しかいなかったのだという気がしてくる。
四谷もまた、自分のことを少しずつ話してくれた。
僕が彼を避け出した頃、彼のお母さんが体調を崩していたということ。
三年の後半休みがちになったり、卒業式に出られなかったのも、そういった理由からだったこと。
「若葉に避けられてるのは知ってたけど、いろいろあって、余裕がなかった」
「今は、大丈夫なの……?」
「ああ。普通に元気にしてる」
よかった。
僕はにこりと微笑んだ。
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