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「若葉ちゃん」 時間を気にしたのか、時計を一瞥してから彼は言った。 「明日とか、放課後暇?」 「明日」 「俺もちょっと練習しときたいし。暇だったら、付き合って?」 新田君とバスケ。 本音を言えば、どちらも苦手だけれど。 今、彼に付き合ってもらったしな……。 「分かった。でも、僕じゃない方がよかったりしないかな」 下手な僕と練習するよりは、上手いひととやった方が効果は高いだろう。 「そんなことないけど。当日一緒にやるやつと練習した方がいいし。……あと家近いし」 最後の理由がいちばん大きいのかもしれないな、と僕は思った。わざわざ集まるとなると、少々手間がかかる。 「若葉ちゃん、携帯持ってる?」 頷き、鞄から取り出す。 家族や一部友人との連絡用にしか使っていないそれは、高校入学時に買ってもらったものだった。
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