2711人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
「若葉ちゃん」
時間を気にしたのか、時計を一瞥してから彼は言った。
「明日とか、放課後暇?」
「明日」
「俺もちょっと練習しときたいし。暇だったら、付き合って?」
新田君とバスケ。
本音を言えば、どちらも苦手だけれど。
今、彼に付き合ってもらったしな……。
「分かった。でも、僕じゃない方がよかったりしないかな」
下手な僕と練習するよりは、上手いひととやった方が効果は高いだろう。
「そんなことないけど。当日一緒にやるやつと練習した方がいいし。……あと家近いし」
最後の理由がいちばん大きいのかもしれないな、と僕は思った。わざわざ集まるとなると、少々手間がかかる。
「若葉ちゃん、携帯持ってる?」
頷き、鞄から取り出す。
家族や一部友人との連絡用にしか使っていないそれは、高校入学時に買ってもらったものだった。
最初のコメントを投稿しよう!