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四谷琉聖のことは、一応一年のときから知っていた。 ただし、同じ学校の生徒だという以外に接点はなく。 三年になるまで、言葉を交わしたことは一度もなかった。 彼と自分は、属する世界が違っていて。 どちらかといえば、苦手な方で。 同じクラスになったとしても、それは変わらないはずだった。 あのとき、彼に話しかけたりしなければ。 …………………… 四月。 最初の席替えで四谷琉聖と隣の席になって、一週間ほど過ぎた日のことだった。 彼は窓際のいちばん後ろの席、僕はその右隣の席にいて、五限目の英語の授業を受けていた。 開け放たれた窓からは、時折春風が吹き込んでいる。日射しもやわらかく、心地よい午後だった。 何気なく窓の方に目をやると、四谷琉聖がすやすやと眠りに落ちていた。
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