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……しかし、起きないな。
約十分後、視線を彼に戻してみると、完全に目が閉じていた。まだ起きる気配はない。
授業は和訳に入っていて、指名された生徒が指定された箇所の訳を読み上げている。
窓際の列から順に指名されているので、
もうじき、四谷琉聖にも順番が回ってくるはずだった。
彼が本文を訳せるかどうかは分からないけれど、寝ているよりは、起きていた方がいいだろう。
そう思い、僕は彼の方を向いて言った。
「四谷君」
彼は反応しなかったが、なぜか周りがざわついた。
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