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四谷琉聖は、睨み付けるような目で僕を見た。起き抜けで急に笑われたら、いらっとしても仕方がない。
ごめん、と僕が謝ろうとすると。
「何行目?」
身を起こして、彼は言った。
「訳、何行目から?」
周りがまたざわついた。
「十行目からかな。その段落全部になると思う」
「ん」
教科書に、ざっと目を通し始める四谷琉聖。
すぐに、彼の番が来た。
先生は自分で指名しておきながら、彼が起きていることにどこか戸惑っているように見えた。
彼の訳は口語的で、自然だった。
答え終えると、彼はまた机の上でうつらうつらと船を漕ぎ始めた。
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