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彼が僕を誘う意味が分からず、言葉に詰まる。 「ひとりで飲むのも味気ないしな。もし誰かを待っているのでなければ、ぜひ」 「待っては、いませんが……」 相手は、これから探すつもりだった。 視線をさまよわせる僕に、彼は言う。 「じゃあ、いい?」 この強引さには、覚えがある。 懐かしくて、恋しくて。 きゅうっと胸が締め付けられるのを感じて、僕はまたおかしくなった。 「……僕は、既に大分飲んでしまっているので。これからお酒にお付き合いするのは難しいと思います」 一度だけ。 今夜だけでいい。 「それでもよければ、」 彼はまっすぐ、僕の目を見つめている。口に出してしまえば、もう後戻りはできない。 「今夜、僕と一緒にいてください」
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