永遠の謎

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画面には南天の星々が映し出されている。 南天とは南半球の空を云う。 古来、人は夜空を仰ぎ、無数の星を観測し名前を付けて記録した。 北半球に位置する日本の本州から南半球の星は見えない。 沖縄諸島で水平線・地平線近くに、かろうじて南十字星を観望できる程度である。 ろ座は地味な星座で、際立って輝く星がない。その為、星の名前はα、β、γと記され、固有の名で呼ばれることがない。 しかし、目立たない空間だからこそ近年では深宇宙の観測に適していると注目される。 水上は、一見、何もないと思われる空間の画像をズームした。 徐々に分解能を上げて行く。 やがて微かな光りを捕らえた。 その画像を更にズームする。 微かな光りの数が増えた。 更にズームする。 それを繰り返した。 やがて、おぼろげながら銀河と思われる光の塊が姿を現した。 銀河の輪郭は不鮮明である。 しかし、そこが解析の限界だった。 赤方偏移 Z値は12を示している。
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