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東京大学宇宙線研究所の大内正己准教授が率いる日米の国際研究チームは、宇宙初期に存在する巨大な天体「ヒミコ」をアルマ電波望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した。
大内正己准教授は、すばる望遠鏡で、初めて「ヒミコ」の存在を報告したチームリーダーである。
アルマ電波望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡は、それぞれ電波と近赤外線の観測において極めて高い性能を有している。
「我々はヒミコに対して、普通では行えないほどの超高感度観測を行って、その深部の構造に迫りました。この観測により、今まで謎だったヒミコの全体像を明かすことに成功しました。しかし、同時に予期せぬ結果も出てきたのです」と大内氏は語る。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測画像には2万光年を越えて一直線に並んだ3つの星の集団が写っている。
ひとつひとつの集団は、ヒミコと同じ時代の典型的な銀河と同じくらいの明るさで、巨大な水素ガス雲がこれら3つの星の集団を包み込んでいる。
際立って明るい光源がないことから、ヒミコのエネルギー源が超大質量ブラックホールではないことが分かった。
一方で、アルマ望遠鏡を用いたヒミコの観測では、星の存在が否定された。
活発に星が作られている「爆発的星形成銀河」に見られる固体微粒子が発する電波、さらには星形成活動度の指標となる炭素原子ガスが出す電波のいずれもが、まったく検出されなかったのだ。
既存の電波望遠鏡に比べて圧倒的に高い感度を持つアルマ望遠鏡を持ってしてもこれらの電波が検出されなかったことは、ヒミコがこれまでに知られている爆発的星形成銀河とは大きく異なる性質の天体であることを示している。
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