第1章 初めての・・・。

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再び距離を開けて、シルフさんの動きに集中する。 すると再びシルフさんはスローモーションで動くようになった。 「どうやらそう言う事みたいだな。」 集中力を上げると自分の中の時間が加速するらしい。 「そう言う事なら。」 一気に距離を詰めて鎧に包まれた腹に拳を見舞う。 どんな素材で作られているのかは解らないが、俺の拳は鎧をバリバリと破壊してその生身の肉体に突き刺さった。 そしてその瞬間に俺は集中力を解いた。 シルフさんはものすごい速さで壁に激突して壁を突き破り、客席に突き刺さって止まった。 「し、死んでないよね?」 「どうでしょう、普通の人間なら死んで居てもおかしくはありませんが・・・。」 何せ初めて力を確認したばかりで力加減がわからなかった。 「セラ、回復魔法が使えるならちょっと回復してあげて。」 「はい、ヒールライト!」 客席に突き刺さっているシルフさんがきらきらと光る。 でも動く気配がない・・・。 「や、やばいかな?」 「回復は効果があるみたいですし、気を失っているだけだとは思いますけれど。」 近づいたらまた襲われるのではないか?と言う恐怖から近づく事ができないが、シルフさんの安否も気になる。 そろそろと忍び足で近寄って、息があることを確認、再び忍び足でセラの元に戻ってきた。 「生きてた、息してた。」 「そうですか、良かったですね。でもなぜ小声で?」 だって起きたらまた襲われるかもしれないし、恐いじゃん。 「それにしても、身体強化は使えるんですね?」 「何それ?魔法で身体を強くする奴?」 「そうです、しかし部分強化が出来るのは凄い事ですよ!」 「した覚えがないんだけど?」 「さっきの動き、完全に身体強化によるものです。そうじゃ無いとパンチだけであんなに遠くまで人は飛びませんよ。」 なるほど、あれは魔法だったのか。 「最初はセラがやったんだと思ったんだけど。」 「違いますよ、男同士の戦いに横槍を入れるのは無粋だって、漫画に書いてありました。」 こうして俺は初めて魔法と言うものを使った。 しかし、使い方自体は良く解っていない。集中したら出来た。それしか解っていない。 とにかく魔法を使う事ができたのだった。
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