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「ぐすっ・・・うぇぇ・・・。」
誰かが泣いている、しかもすぐ近くで。
その声で目が覚めた。目覚めとしては最悪だ。
目を開けて泣き声の方に顔を向けると羽の生えた少年が泣いていた。
「うっ・・・?ここはどこさ?」
「ごごばでんがいでずぅ。」
うん、何言ってるか解らん。
とりあえず正面に座りなおして泣き止むのを待つことにした。
「ひぐっ・・・うぅ・・・ぐずっ」
ポケットからハンカチを取り出して渡してあげる。
「うぅ・・・よぞうよでぃいいひどだぉ~!!!ごんだいいびどをぼぐは・・・うえぇえええん!!!」
何だか余計に泣かせてしまった気がする。
俺は後頭部をぼりぼりと掻いてため息をついた。
「おや、目が覚めたようですね。」
少年の後ろに突如これまた羽の生えた綺麗なお姉さんが現れた。
「えっと・・・?」
「私はセラフィム、熾天使です。」
「はぁ、どうも、俺は「宝木 卓真さん、ですよね?」・・・。」
俺は頷いて答える。
「目の前に天使かぁ・・・やっぱ俺死んだかぁ・・・。」
「はい、お友達は皆無事ですが、あなたは首をもがれて死にました。」
まぁ、顔面に熊のビンタだし、そうなるよな。
「状況は理解しました、それで?俺は何でここに?」
「実はあの熊、この方が異世界から間違えてあなた達の世界に送ってしまったんです。あなたが犠牲になった事で回収できましたが。」
「あぁ・・・そうかぁ・・・間違えたかぁ・・・はぁ・・・。」
「やはり、お怒りでしょうか?」
「まぁ、怒ってないって言ったら嘘になりますね。まだやりたい事も沢山有ったし、両親や兄弟や親友を悲しませたし、彼女も作ってみたかったし。」
「うぇええええん!!!」
「でも、こうやって反省して泣いてるし、間違えたって言うのなら、悪気が有ってやった訳でもないだろうし、この子に怒りの矛先を向けるのは間違いだろ?」
「この子?あなたにはこの方が子供に見えているのですか?」
「え?はい、10歳くらいの。」
「・・・」
何か不味い事でも言っただろうか?
「これまでの数々のご無礼、ご容赦ください。」
そしていきなり土下座で謝罪された。
「ちょっ!?何してるんですか!?止めてください!!」
慌ててセラフィムさんを立たせる。
「あなた様は、おそらく神界の高貴なお方のご子息様です。」
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