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「ああ、長閑だなぁ・・・。」
通行の邪魔にならないようにギリギリ草むらを歩く。
前には商人の荷馬車が走り、全長5m位の鳥が空を優雅に舞っていた。
「へいもが!?」
「セラ、それは言っちゃいけないよ、せっかく長閑な気分を味わっているんだから、変なフラグは立てちゃ駄目だ、解ったか?」
頷いて答えるセラを解放して、周りをきょろきょろと見渡す。
「とりあえずセーフか」
安堵の息をついて再び王国へと歩き出す。
「あと1時間ほどで到着ですね。」
「そうだな、着いたらまずギルドに行って登録して、部屋を貸してもらおう。」
どうせ色々厄介な事が起きるだろう、水晶破壊とか、ギルドマスターとのバトルとかな。
「と言うわけで、今日はギルドで一泊、明日から魔法の練習とギルドの依頼だな。」
空が紅く染まり、目の前に広がる城壁の内部のいたる所から煙が立ち上り始める。
「火事でしょうか?」
「家事だね、炊事とも言うかな。」
「なるほど!ご飯を作っているのですね。」
そんな事を話しているうちに城門の前に辿り着いた。
「こんにちは旅のお方、入国ですか?」
「はい、東の方の田舎の村から上京してきました。」
「それはそれは、ようこそシュレー王国へ、我々はあなたを歓迎しますよ。」
ありがとうと言い残して中に入る。
「とりあえずギルドだね、どこが良いと思う?」
「そうですね、神の庭はどうでしょう?私達にはぴったりだと思いますけど。」
ギルド神の庭、ここは国立ギルドであり、この王国の中では最大の勢力を誇るギルドだ。どうやら入会するには他のギルドのマスターの推薦状が必要らしい。
「無理だ、ギルドマスターに認めてもらわないとは入れないらしい。」
がっくりと肩を落とすセラを見てはははと笑う。
「仕方ないさ、他のギルドに行こう。」
次に俺達が向かったギルドは、風の囁き。
この国のギルドは7つあり、その内の6つは各属性ごとに分かれている。
火、水、風、土、光、闇だ。
そしてギルドを管理しているのが各属性の貴族たち、6大貴族と言う奴だ。
そしてその6大貴族が認めた者だけが入れるのが、先ほどの神の庭である。
「今日は風が気持ち良かったから、ここにしよう。」
「そんな適当な決め方でいいのでしょうか・・・?」
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