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「さて、どうしようか」
思わず声に、甘い酔いが混じる。
アルコールや
ドラッグなんかより、
自分で出すドーパミンの方が
よっぽど癖になる。
俺の手の支えを利用して、
志緒はずり……と
太ももの上に移動してくる。
その心地よい重みと
彼女のやわらかさに、
生々しい体の記憶が甦った。
体の記憶は時に、
頭の中のそれを凌駕する。
「……なあ、志緒。
俺のこと、殺さないのか」
さっきの“死んじゃえ”は
相当効いた。
最低最悪の罵り言葉が、
愛の言葉に聴こえた俺は相当だ。
「そんなの、いつでもできる」
「へえ」
俺と同じように、
志緒の中でも何かが
壊れたらしい。
くすくす笑ってやると、
彼女の両手が伸びてきて
俺の両頬を包んだ。
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