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──誠司だ。
あいつの顔は、
あまり見たくない。
だが、話はつけておかないと
溜飲が下がらない。
過ぎた時間のことだ。
本気で腹を立てても
どうしようもない。
それは、俺が一番よく判っている。
ベッドの中で丸まり、
すいよすいよと眠りこける
志緒の様子をもう一度覗き込んだ。
……起きねえな。
心の中だけで「悪りぃ」と
真剣に謝って、
俺は一瞬躊躇った上で
彼女のバッグの中を覗き込む。
投げつけられた時に、
スマフォも飛び出て来たのを
思い出したのだ。
ありがたいことに、
探らなくてもちかちかと
通知ランプを点滅させる
志緒のスマフォのありかは
すぐに判った。
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