乾いた身体を潤して

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  中のものをかき回さないように そっと引っこ抜く。 案の定パスが設定してある 志緒のスマフォに、 彼女の誕生日を放り込む。弾かれた。 まさかと思い、 “0406”を入れる。 ──通った。 一瞬、呆然とする。 ……4月6日は、俺の誕生日だ。 「なんでだよ」と訊く気も起きない。 今すぐたたき起こして、 もう一回戦と いきたくなってしまう。 それはさすがに可哀想だし、 終わったばっかの俺に しばらくその欲は湧いて来ねえ。 ……たぶん。 思わず口の端が緩むが、 笑っている場合じゃなかった。 そーっと寝室を出て、 発信履歴をスライドさせる。 lucieid、九鬼、押尾課長、 アクセルシフト営業部…… 昨日の今日でずいぶん色んな人間と 連絡を取っているものなんだな、と 働きアリのような履歴に感心した。 .
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