乾いた身体を潤して

26/39

1181人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
  『……何の悪戯だよ。 ほんと、たちが悪いよね』 「たちが悪いのは 否定しないし認めるが、 お前ほどじゃねえ。 お前、よくも俺を謀りやがったな」 『……』 だんまりだ。 誠司に限らず、 男ってもんは準備もなく ずばりと真実に斬り込まれると 言葉を失う生き物だ。 だからこそ、 普段は明言を避ける傾向にある。 「お前の心ない嘘のおかげで、 俺は今の今まで煮え湯を 飲まされ続けてたってわけだ」 俺がすらすらと言葉を続けると、 一瞬の間のあと誠司も口を開いた。 『──俺、謝らないよ』 「へえ」 『志緒をあっさり さらっていっただけじゃない。 兄さんとの因縁は、 俺が生まれた時からだ』 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1181人が本棚に入れています
本棚に追加