90人が本棚に入れています
本棚に追加
「恭平、一時間したら起こして」
広田がそう言って目を閉じてから、ずっと寝顔を眺めている。
自分でも、馬鹿なんじゃねぇのって思うけど。
いつもはドキドキしすぎて、まともに顔が見られないから。
屋上のいつもの場所で。壁を背にして座り込んだまま、頭だけを俺に預けて眠る広田を。
ここぞとばかりに眺めている。じいっと、穴が開くんじゃないかってくらい。
普段、 広田の顔を正面切って見つめるなんて、絶対無理だし。
恥ずかしくて、とてもじゃないけど出来ねぇし。
眠ると少しだけ幼くなる広田の寝顔。
それを誰にも邪魔されることなく思う存分眺められるなんてさ。
こんなチャンス、なかなか無いだろ?
最初のコメントを投稿しよう!