第四章 恋慕

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そんなにも春海様は、私がお嫌いなんだ。 それは下賤な成金娘だからなのだろう。 毎夜想いを込めてつづった手紙も、誰かに書かせたものだと思い込んでいる。 彼には何も伝わらないんだ。 彼にしてみれば、そうだろう。 今までちゃんと会ったこともないのに、『お慕いしていた』なんて伝えたところで、誰が信じるというのだろう。 そんなの、ただの企みだと思われても仕方ない。 在原家という看板や誉れが欲しいが故の手段だと思われても仕方ない。
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