第四章 恋慕

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「話?」 「はい。 春海様と瞳子さんは、どのように親しくなったのか、お聞きしたいです」 ためらいながらもそう尋ねると、春海は小さく息をついて、手にしている原稿用紙を持ち上げた。 「これだよ」 「これと申しますと?」 「下手の横好きで、文学を嗜んでいてね」 ぎこちなくそう言う彼に、千花子の胸がドキドキと高鳴った。 「人に読ませられるような代物ではないんだが、書いた以上は『誰かに読んでもらいたい』と思うのは、物書きの本能なのかもしれない」 独り言のようにそう漏らす。 「……お書きになった小説を瞳子さんに?」 「偶然だったんだ。 置き忘れた原稿がなくなっていて、探していたら、いつの間にか部屋の机の上にあってね。 読んだ感想の手紙が置かれていたんだよ。 それが誰が書いた手紙なのか分からずに、人に問うていたら、それが瞳子だということが分かった」 『瞳子』とその名を呼び捨てたことに、今度は胸が痛んだ。 分かりやすい嫉妬だ。
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