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我が日下部家は、明治時代後期に国家への勲功によって男爵となった『新華族』であり、
真の華族から『金で爵位を買った』と揶揄されることも少なくなかったそうだ。
財産はあっても蔑まされることが多かった父は、公爵である『在原家』との縁談に並々ならぬ力を注いでいたらしい。
公家の流れでやんごとなき血筋の在原家。
家名こそ高貴であったものの、財産が少なく、没落の危機にもさらされていたそうで、
末の息子くらいならばと、三男である春海さんとの縁談を了承したそうだ。
それが私がまだ十歳になったばかりのことで、私が十六になった時に、在原家に入ることが決まっていた。
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