第四章 恋慕

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だけど、春海様。 私は本当に、ずっとお慕いしていたんです。 まるで絵本に出て来る王子に恋をしたかのように。 幼いあの日、ピアノを奏でるあなたの姿に、 私はもうずっと魅入られてきた。 せめて私が真の華族の娘ならば、 あんな目で見られずに済んだのだろうか? 最初、桜の庭でお会いした時は、 あんなに素敵な笑顔を見せてくれたというのに。 ――春海様。 千花子は自分の体を抱き締めるように身を縮ませて、声を殺して泣いていると、 「――千花子さま」 と圭子がノックと同時に、静かに扉を開けた。
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