第3章 イケメン漫画家の裏の顔は…

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本棚には大判の緊縛写真集もあった。タイトルは『食い込む縄』。ロリコンだとばかり思っていたが、SMの気もあるのだろうか? 「SMにもご興味があるんですか?」 あたしは写真集を指した。 「はは、それはただのもらい物だよ。僕はSでも、Mでもない。ロリコンだ」 親指と人差し指で「L」の字を作り、決まった、とでも言いたげにポーズをとる。 死んでくれ、と思ったが、口に出してはこう言った。 「ひゅー、かっこいいです!先生」 こいつは確かに顔はいい。背も高く、声はバリトン歌手のように渋い。都内にマンションを三つ持っている上、安藤先輩いわく一千万くらいの外車に乗っているらしい。整頓好きで、柔軟剤で洗濯した服をきちんと畳むタイプだろう。 だけど―― ロリコンはロリコン。人類最大の敵だ。
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