第3章 イケメン漫画家の裏の顔は…

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「あのー、ところでお仕事の話なんですけど――」 本城が、あっ、とわざとらしく腕時計を見た。 「僕、行くところがあったんだ。君との話が楽しくてつい忘れていたよ」 「ショップにお買い物ですか?」 「え? 何で知ってんの?」 本城の顔に戸惑いと警戒の色が浮かぶ。 「安藤さんからお聞きしました。先生は仕事が一段落すると、お気に入りのショップめぐりをされるって…。あの、ご迷惑でなければ、私もぜひご一緒させていただけないでしょうか?」 「ご一緒って…君が?」 「はい! 勉強になると思うんです」 胸の前で両手を合わせ、爪先を伸ばし、キスする勢いで顔を近づける。 本城は「いや、でもなぁ」と目を逸らした。それで確信した。 こいつ、女に免疫がない。外見はモテそうだけど、身近に女がいた経験は少ないと見た。
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