第4章 潜入!フェティッシュビル

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「先生もおつらいですね」 あたしは眉尻を下げて、共感を示す表情を作る。 ゲイにもレズにもバイセクシャルにも差別や偏見は持っていない。そもそも性を売り物にしている人間が他人の性をとやかく言えたものでもないだろう。 だけど、なぜだ? ロリコンだけは認められない。あたしの心が狭いのか? 「僕の少年時代は悲惨でね。両親はともに教師で、それはもう厳しく育てられた。漫画もアニメも見せてもらえなかった。友達から『少年ジャンプ』を貸してもらったときの感動は今でも忘れられないよ」 走り出した車の中で、本城は自らの過去を語り出した。 「エロ本なんて言語道断さ。隣町の本屋まで行って立ち読みしていた。万が一にも知り合いに見つからないようにね」 Lはフロントガラスの向こうへ遠い目を向けた。
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