第4章 潜入!フェティッシュビル

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「あれ、気になります? もしかして気になります?」 助手席から身を乗り出し、顔を近づける。 「う、うわ! 顔を近づけるな、お前。熟女くさい。熟女の匂いがする」 フェラーリがぐらぐらと蛇行し、あわててあたしは体を引っ込める。 「失礼な…熟女くさいって何ですか?」 「化粧の匂いだよ。偽りと偽装の匂いだ」 「誰だってしてますよ。第一、今は小学生だって化粧するらしいですよ」 「世も末だよ。僕の愛する天使たちがビッチになっていくなんてね」 吐き捨てるように本城が言った。 車が信号で停まり、漫画家がぽつり、とつぶやいた。 「僕の友人に小学校の教師をしている男がいるんだ。そいつも僕と同じLだ」 ロリコンを地下に潜ったレジスタンスみたいな言い方をするな。いらつく。 「小学校の先生がロリコンですか? 世も末ですね」 あたしは言った。だんだんと遠慮のない物言いが増えてくる。
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