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「あれ、気になります? もしかして気になります?」
助手席から身を乗り出し、顔を近づける。
「う、うわ! 顔を近づけるな、お前。熟女くさい。熟女の匂いがする」
フェラーリがぐらぐらと蛇行し、あわててあたしは体を引っ込める。
「失礼な…熟女くさいって何ですか?」
「化粧の匂いだよ。偽りと偽装の匂いだ」
「誰だってしてますよ。第一、今は小学生だって化粧するらしいですよ」
「世も末だよ。僕の愛する天使たちがビッチになっていくなんてね」
吐き捨てるように本城が言った。
車が信号で停まり、漫画家がぽつり、とつぶやいた。
「僕の友人に小学校の教師をしている男がいるんだ。そいつも僕と同じLだ」
ロリコンを地下に潜ったレジスタンスみたいな言い方をするな。いらつく。
「小学校の先生がロリコンですか? 世も末ですね」
あたしは言った。だんだんと遠慮のない物言いが増えてくる。
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