第9章 仕事の修羅場、恋のシュラバ…そして新雑誌誕生!

5/47
602人が本棚に入れています
本棚に追加
/406ページ
「松岡くん、これ、二十八ページあるけど」 発注は十八ページだったはずだ。 『…すいません。檀さんの原作を読んでたらイメージが膨らんじゃって…ページがちょっとオーバーしちゃったんです』 ちょっとどころではない。十ページもオーバーしている。どうりで時間がかかったはずだ。 あたしが何か言おうとする前に、松岡の声が聞こえてきた。 『これ、ぜんぶ載せてもらえませんか? 途中で切りたくないんです』 「ちょっと待って」 あたしは重い原稿データをPDFに変換し、原稿の内容を確認していった。 すばらしい仕上がりだった。官能小説家・檀一世の耽美的な世界を見事に表現している。着物の柄の細部にいたるまでリサーチして描く、松岡にしかできない仕事だ。 だが、もう台割は決まっている。今から変えるのは難しい。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!