第9章 仕事の修羅場、恋のシュラバ…そして新雑誌誕生!

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「少し考えさせて。また後で連絡する」 いったん電話を切った。しかし、気持ちはもう固まっていた。 椅子から立ち上がり、香坂を見る。 「香坂くん、相談があるんだけど」 自分でも声が強ばっているのがわかった。 香坂が「なんすか?」と言う。電話の内容を聞いて、明らかに警戒している。 「泉さんの作品、今から外せない? 松岡くんの原稿がオーバーしてきたの。ちょうど十ページ。泉さんの原稿を落として、あとは広告で埋めれば、うまくおさまると思う」 泉の作品は、ページの合間を埋める、いわば雑誌の箸休め的な役割の四コマ漫画だ。外しても売上げに大きな影響はない。問題は―― 「待ってくださいよ」 香坂の顔はいびつに歪んでいた。 「もう入稿終わってんですよ」 「原稿料はちゃんと来月号ぶんとして払うわ。漫画はその次の号にちゃんと載せる。急で、申し訳ないとは思ってる。でも、松岡くんの原稿はすごくいい。リニューアル号にどうしてもこれを載せたいの」
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