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「少し考えさせて。また後で連絡する」
いったん電話を切った。しかし、気持ちはもう固まっていた。
椅子から立ち上がり、香坂を見る。
「香坂くん、相談があるんだけど」
自分でも声が強ばっているのがわかった。
香坂が「なんすか?」と言う。電話の内容を聞いて、明らかに警戒している。
「泉さんの作品、今から外せない? 松岡くんの原稿がオーバーしてきたの。ちょうど十ページ。泉さんの原稿を落として、あとは広告で埋めれば、うまくおさまると思う」
泉の作品は、ページの合間を埋める、いわば雑誌の箸休め的な役割の四コマ漫画だ。外しても売上げに大きな影響はない。問題は――
「待ってくださいよ」
香坂の顔はいびつに歪んでいた。
「もう入稿終わってんですよ」
「原稿料はちゃんと来月号ぶんとして払うわ。漫画はその次の号にちゃんと載せる。急で、申し訳ないとは思ってる。でも、松岡くんの原稿はすごくいい。リニューアル号にどうしてもこれを載せたいの」
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