第1章 私はエロ漫画の編集者

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「松岡くんが胸の描写を大切にしていることは知ってるわよ」 「早瀬さんのバストサイズは何センチですか?」 唐突な質問に一瞬、あたしは声を失った。「は?」と真顔で問い返す。 「さっきから聞いてると、早瀬さんは全然こっちの側に立ってくれない。原作者さんの味方ばかりしているように感じます」 「でも、今回は檀先生の原作を使わせてもらうわけでしょ?」 あたしはメールや電話で何度も繰り返した文言を口にした。 年齢とともに、男が興味を注ぐ女の体の部位は下がっていく。二十代は顔、三十代は胸、四十代はお尻、五十代は脚や足首という感じに。 官能小説家の檀一世は五十代。大きな胸を下品に感じるのだろう。これもジェネレーションギャップというやつか。
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