第5章 大人ってズルくね?

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高校生って案外忙しいと思うんだ。 部活にバイト、テストだってある。 そして何人かはコンパなどの行事もあったりする。 今までは火曜と木曜はバイトに入れていたのに、美術部があるから、最近は今までよりも遅い時間に入らないといけなくなった。 でも、スマホ代やら、金は必要だから眠くても辞めるわけにいかないし。 「あ、これ新作じゃなくなってるじゃん」 高校生も可っていうバイトは少ない。 ようやく見つけた駅前のレンタルショップ、時給もいいし趣味の映画もタダで借りられる、けっこういいバイトだ。 「梶~悪い、レジ頼むわ」 「あ~い」 唯一の難点といえば、ここではアダルトは借りられない。 あと、十八歳未満だからアダルトエリアにも入れない。 今日一緒に入っている大学生が、やたらと目がチカチカする肌色前面なDVDを、両手に抱えてスッと十八禁マークの先に入っていくのを見送りながら、レジへと向かった。 別に入ってもよくないですか? よくないけど。 「いらっしゃいませ~」 レジ内のDVDを整理しながら、自動ドアが開いた気配を感じて、条件反射のように挨拶をすると、小さく知っている声が、ゲっ、と言ったのが聞こえた。 「!」 俺はあまりの偶然にドラマみたいにストップしてしまう。 「阿木野さん!」 「ちょ、お前何してんの?」 何ってバイトにしか見えないじゃん! つうか、奇跡でしょ? 運命っぽいでしょ? すごいテンションが上がって、言いたいはずのはしゃいだ言葉は頭の中でだけ踊っている。 「一応、バイト禁止のはずだけど? しかも今、何時?」 「あー……9時半? かな?」 「早く帰れよ。高校生」 辺りを見回しても誰もいない。 一人みたいだ。 なんかほっとした。
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