第1章 灰狼と赤烏 1

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オルド「もう一つ教えてくれ。その潜入任務は口外禁止令が出てたと思うが・・・いつ解禁された?」 レリック「迷宮に踏み入れた時点で話していいと言われました。」 グレイ「二階級特進と言い、口外禁止令の解禁タイミングといい・・・こりゃあ俺達嵌められたか?」 エリック「そんな!?」 エリックは驚き声を上げる。 オルド「戻るか?」 オルドは洞窟を振り返る。 グレイ「いや、今戻っても何も解決しない。それどころか既に何かしらの手が打たれているかもしれない。こっちはたった三人だ。指名手配でもされてりゃ門から出た瞬間処刑なんてこともあるだろ。」 オルド「ならどうする?東か西に進んで亡命でもするか?」 グレイ「いや、東のジパングは鎖国中で入国出来ない。西のサイクローゼは移民の受け入れはしているが、ノースガリアと繋がっているかも知れない。」 オルド「なら南か?ナンバンガルは観光地としては有名だが、軍隊なんてあって無いようなもんだぞ?一層一階でさえ整備がいきわたってない可能性のが高い。それにここからナンバンガルまでは最短で一月以上は掛かる。安全な道を進むならそれ以上だ。」 エリック「すいません。俺のせいで迷惑を掛けてしまって・・・。」 エリックは深く項垂れる。その表情からは罪悪感が伝わってくる。 グレイ「いや、謝るのは俺達の方だ。」 エリック「どういう事ですか?」 グレイ「・・・ジークとクロウって名前は聞いたことないか?」 エリック「確か両方とも強盗団の名前ですよね?それがどうかしたんですか?」 オルドは話したくないのか顔を背ける。 グレイ「俺の名前はグレイ・ジーク。ジーク強盗団の元団長だ。コイツはオルド・クロウ。暗殺集団クロウズの元頭領だ。コイツも俺も色々あって軍に入隊したんだが、経歴のせいで上からはとことん嫌われててな。もしかしたら今回の任務で始末するのが目的だったのかも知れない。」 エリック「そんな・・・お二人が元強盗団だなんて・・・。」 エリックには言葉ほども驚きは無いように見えた。元犯罪者と同じ場所に居るという事よりも、軍から切り捨てられたという事の方が衝撃的だったのだろう。
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