第1章 灰狼と赤烏 1

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オルド「・・・おい、一応爺さんの指令通り動かねぇか?俺にはどうもあの爺さんが人を切り捨てる奴には思えねぇ。もしかしたら脱出の手段を用意してくれているのかも知れない。」 オルドは洞窟からの敵に警戒しつつ提案を上げる。 グレイ「それもそうだな。少なくともナンバンガルやサイクローゼに行くよりかは現実的だ。エリックもそれでいいか?」 エリック「はい。でも大丈夫なんですか?聞いた話じゃ迷宮は一つ上の階に上がるだけでも死亡率が跳ね上がるって、同期の奴が噂してたんですけど・・・。」 エリックは落ち着いたらしく、意識は迷宮に向かっていた。 グレイ「あぁ、そういや迷宮について教えるって約束だったな。いいか?迷宮では道さえ知っていれば最低でも生存率20%は必ず保障される。一層なら50%は生き残れる。という訳でこれが地図だ。失くすなよ。」 エリックはグレイから一層一階から一層五階までの地図を受け取った。その地図は円錐形に近い形に埋められており、それ以外の場所は白紙になっている。 グレイはエリックに地図を渡すと歩き出した。 エリック「変わった形に埋められていますね。それに迷宮の中心に近づくほど赤い印が付いていますけど、これって何ですか?」 オルド「迷宮には謎の空間が数多く存在する。赤い印はそういう場所で死人が発見されたって印だ。」 最後尾で警戒していたオルドが答える。 オルド「因みに黄色い印は民家や駐屯所、青い印は飲める水場、緑の印は薬に使える植物などが多く生えている場所だ。迷宮では現地調達が基本になる。支給品や持ち込んだ食料は最後の手段として取っておかないと、いざという時に飢えや病気で死ぬことも珍しくない。」 エリック「へ~。だから迷宮探索に銃は使われないんですか?」 オルド「あぁ、弾丸は迷宮内での製造が限られているからな。それに普通の鉛玉じゃあ効かない奴もいる。勿論、俺達の剣の様に魔術刻印をすれば効かないことも無いが、弾丸一発一発に刻印なんて馬鹿らしいだろ?」 エリック「でもそれだったら弾じゃなく銃に刻印すればいいんじゃないんですか?そうすれば弾丸さえあれば遠距離から安全に倒せるじゃないですか。」
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